園長からのメッセージ(2009年度・2月号) 園長からのメッセージ(2013年度・11月号)

柿の種を包んで

 子どもたちから手紙を頂く。一生懸命に文字を書いている、可愛い絵がある、折り紙が添えてある、どれもどれも嬉しくなる。「大好きだよ」、返事に同じ言葉を添えています。先日、子どもからの手紙が膨らんでいます。開けると「柿の種を包んで」いました。秋の果物で大好きな柿、一日に何個でも食べます。バスに乗ろうとしていた女の子に「ピカピカだね」というと、「美味しいから妹にあげるの」、子どもは本当に優しい。お弁当のデザートに柿を持ってきている子がたくさんいるとのこと、家でもみんなで食べたことを嬉しそうに教えてくれたり、いつものデザートより大切に食べている姿を見て、自分で柿もぎを経験したことの大切さを先生も子どもたちも感じたようです。お母さんの応えてくれる優しさ、それが嬉しくてたまらない子ども、先生たちからの報告です。
 「ケーキを買ってくれてありがとう」。一人の女の子が座っている私のそばに来て、さりげなく小声で言って立ち去りました。お父さんが美味しく作り上げたケーキを先生たちが食べた、本当に嬉しかったようです。父親母親思いの優しさに涙が出てしまいました。子どもは本当に優しい。
 園児たちが陶芸に挑戦しています。ほぼ毎日のようにどこかのクラスが作陶しています。陶芸の先生がその都度、私に手渡すか、机の上に置いていきます。その手紙(報告)を読むのが楽しみでならない。子どもたちの様子が覗え、また丁寧に報告してくれるのが嬉しい。ある日の報告に、「つくし組の今日の作陶は自由に好きなものを作りました。一人の男の子がかわいいハートのお皿を作りました。『ママが病院にいるの、持って行ってあげるの』と話してくれました。とても心のこもった、一生懸命作ったのが伝わる温かい作品でした。」子どもは本当に優しい。
 「うちのパパ、出世したんだ」。出世がどんなことか分かったかどうかはどうであれ、子どもは嬉しそうに話してくれました。家でのお父さんとお母さんとの会話が弾んだ様子がわかりました。子どもにはお父さんが、お母さんが自慢で自慢で得意げに話す。この世で一番大好きは、勿論パパママです。子どもは本当に優しい。
 一人の女の子が両手で私の手をギュッ、としてくれました。「えんちょうせんせいのおかあさんに、ちからをあげてください」と、走り去りました。本当に毎日毎日子どもたちからパワーを頂きます。月曜日はたくさんの持ち物が多い日、両手がふさがっている子もいっぱいいます。月曜日の朝の握手は楽しみです。ドキドキします。時折、両手がふさがっていると、片方の手の小指だけを出してくれます。その小指にそっと握手するのが、楽しみです。楽しみというより次々と握手していると「ふい」にその時が来る、ドキドキしてしまいます。60歳になって可愛い子どもたちとの握手にドキドキ、子どもたちは本当に優しい。
 そんな優しい子どもたち、そんな優しさいっぱいだった大人の私たち、なぜか優しさを素直に表現できなくなってはいないだろうか。しがらみ、駆け引き、前の嫌な時のことを思ってみたり、相手をうかがったり、時には陥れようとしたり、裏切ってみたり、さぐってみたり・・・。子どもの頃の本当の優しさを、純粋な優しさを忘れてはいまいか。本当の優しさを素直に表現したい。